ポッピンな世界

まったりのんびり日記書いていきます。

大切な人

大切な人はたくさんいる

だけどこの季節になると思い出す人がいる

 

 

春の雨が降った日曜日

 

4年前の春、茨城北部のとある町に住んでいた頃の話

 

 

「おい!ぽっぴんパチンコ行くぞ」

 

朝の7時前 先輩にたたき起こされた

パチンコも煙草もしない私にとってパチンコ屋は地獄よりも住みにくい所であるし

祖父を肺がんで亡くした

個室の病室に入りながら煙草を3本まとめて吸っていた祖父を見て

煙草のの煙は体に入れちゃダメなんだと真剣に考えて育ってきた私がパチンコ屋など

行くはずがなかった

 

嫌がらせである

悪い先輩達ではなかったが、後輩をからかって遊ぶ風習が脈々と受け継がれている

もはや伝統と美化している社員も多い

 

集団生活は、楽しい反面苦しい

入社して2年、まだまだ慣れていなかったこの生活から逃げ出したかった

 

基本休日は、寮を出て

本屋に行き

写真を撮るために散歩したり

一日ファミレスで過ごす事も珍しくなかった

それが使命であるかのように外に出かけ 逃げた。

 

 

この日は父方の祖父母の家に行くことにした

なぜ突然思い立ったのか考察する間もなく走りこむ様に電車に飛び乗る

 

祖父母の家は茨城県南部にあって電車を使えば3時間弱の距離ににある

就職する前は実家からたまに遊びに行っていたが

仕事の都合で休みがいつなのかも分からない

なかなか行けずにいた

 

祖父が転んで骨折しており介護が必要なほど悪い状態にある事は聞かされていた

本社のある愛知に帰る前に顔を見ておきたかった

 

ただ、一人で祖父母宅に行ったことがない

家族で行くと大体、両親が祖父母の対応をする

並べられた御馳走を食べお礼も言う

ただそれだけが祖父母の家での私の仕事であり任務だった

 

 

不安があった、急に思いついてしまったので家族を呼べない

実家から一時間の距離なので来てくれるだろうが遠慮が勝ってしまう

 

そんな不安と久々に顔が見られる期待とを胸に茨城を縦断し、南下する

関東平野の端っこだが、茨城県ほど起伏のない県を私は知らない

 

どす黒い雲の中に電車は進む

やけに田んぼが青い、田植えの季節には早いと思ったが青々として

電車の進行方向に風が吹いているようでみな同じ向きにそろっっている

 

改札を出るころには雨が降り出す

春の匂いがした

 

出会いと別れの季節

寂しさと、ワクワクした好奇心と、学生の頃を思い出した

 

 

タクシーで10分

こんなに近かったのかと感心しつつ

「ただいまー」

まるで実家に帰ったように挨拶するということになっている

 

 

祖母がびっくりしながら出迎えてくれた

気を使われるのも嫌で、こっちにも連絡していない

この時の祖母のびっくりする様を録画しておけばよかったなぁと今でも後悔する

 

気を使いの祖母

まだ荷物も降ろしてないのに昼めしの出前を何にするかと聞いてくる

 

まだ昼飯にするには時間が早い

祖父はデイサービスに行っており午後にならないと帰ってこないらしい

 

思案するうちに近くにファミレスがあったのを思い出す

歩いて7~8分の所にあるはずだった

雨が降っているが気になる程度じゃない

老人も食べられる和食メニューも多い

それに何よりこの家から連れ出せる

 

提案してみるとそんなところにファミレスがあったなんて知らなかったらしい

生活範囲の狭さに驚いた

 

二人で傘をさして歩く

そういえば祖母と二人きりになったことなんてなかった

家族は多い4人兄弟だし誰か必ずついてくる

 

歩いて8分を20分かけて歩いた

祖母の足腰は、大分弱っていてちょっとした段差でも一苦労だった

何度も引き返して出前にしようといったが聞かない

懸命に歩く祖母を見てなんか気の利いた話でもできればよかったんだけど

肩をかすぐらいしかできない自分が情けなかった

 

やっと着くと祖母は量が少なめの和食定食、私はミートソーススパゲッティを頼んだ

 

まわりを見回すと

ランチをする主婦会 部活終わりの高校生 新聞を読みながらコーヒーを飲むおじさん

そしてとなりには、若い夫婦とやっと立てるようになったくらいの赤ちゃん

 

何気ない会話をした、仕事のこと家族のこと祖父や同居してる叔父さんのこと

こんなに自然に話せるんだと、自分でもびっくりした

 

会話に夢中になっていたけど、外が曇り空なのに

店内が光輝いていて、みんながみんな笑っているのが分かった

だれもかれも楽しそうで、その中心には自分たちがいた

 

ふと祖母が何かに気が付いた、そちらに目を向けると隣の赤ちゃんがこちらを座席につかまり立ちして見ている

何が楽しいのかわからないような顔をしていた

 

わかんないよね(笑)、私もさっきまでわからなかったんだから

 

二人で見ていると若夫婦がこっちに気付いたようで

「すいません」と赤ちゃんを抱えた

人見知りしない子供のようで、しきりにこっちを気にしている

とても人のよさそうな夫婦でかわいい赤ちゃんと幸せを絵に描いたようだった

 

それを見る祖母も幸せそうで

私も幸せになれた

 

おもむろにこちらを向き「ぽっぴんはいい人は、いないの?」と聞いてくる

結婚を前提に付き合っている人はいるが結婚の時期でもめていた

「会ってっみたいなぁ」

そんな祖母の言葉が突き刺さった

 

そんな話するのも始めてだった

照れてそんな顔するのも今知った

 

不思議な時間だった、何もかも輝いて見えて

それでいてゆっくり時間が流れる

 

楽しかったそして焦りと寂しさがこみ上げる

 

 

店を出ると雨が上がっている

 

 

家に帰ると祖父がちょうどデイサービスの車から降りてくるところだった

 

祖父も大分歩き方がおかしい

介護用ベッドに横たわると

若いころ柔道で鍛えた壮健な体がパンクしたかのように骨と皮だけになっていた

 

同居している叔父さんがいるとはいえ

この家から離れるのが辛かった

 

帰りの電車内

情けなかった、自分が

私はこの人達にどれだけ愛情をもらって、どれだけ返せただろう

孫として何が出来たんだろう

 

社内が暗い

街灯がまばらにしかないせいかと思ったがそうでもないらしい

 

 

ただ走る何も考えていないかのように

 

 

 

今日という日

はじめまして

ぽっぴん村雨と申します

 

愛知県在住27歳

仕事は建設関係

結婚しておりますが子供はおりません

趣味は、読書くらい

欲というものがない、悟り世代の典型的な性格です

 

 

昔から日記感覚でブログを書いていましたが結婚をし、生活スタイルの変化もあって

文章を書くということから遠ざかってしまいました

 

しかし3月11日、この日は、僕の人生を変えてしまった日です

8年前から今日までの出来事は、まるで運命であったような感じで

文章で残さなくてはと、何かに急き立てられるように

ユーザー登録していました

 

 

なので見ても楽しいものではないかもしれません

楽しいこと、苦しいこと、喜びや悲しみ、感動したこと等、感じたことを正直に

踊り出すような文章をめざして書きます

この自己満足のぽっぴんワールドにお付き合いいただける方はこれからよろしくお願いいたします。

f:id:takesessh:20190311163634j:plain